自己破産した人の末路と知っておくべきリアルな体験談・よくある誤解

「自己破産した人の末路は悲惨らしい」、「自己破産後はまともな生活ができなくなるってきいた」そんな噂が飛びかっています。

たしかに、自己破産した人の生活は自己破産前と全く同じではなく、制限さがあります。

しかし、借金がゼロになるという自己破産のメリットではなく、先入観やイメージだけで危ない手続きと決めつけてしまうのは、とてももったいないです。

自己破産をした人のリアルな体験談のほとんどに、自己破産をしてよかったという声が上がっています。一方でよくある誤解に惑わされて自己破産の手続きが遅くなったことを悔しがる声もあります。

借金は、解決までに時間がかかるほど苦しくなる問題です。リアルな体験談やよくある誤解を理解して、一秒でも早く借金問題の解決にむけて動き出すべきです。

自己破産した人の末路

自己破産には、借金がなくなるという利点がありますが、それは破産をした本人だけのことです。

自己破産した人が背負っていた借金の中で、保証人がついているものがあったときは、保証人が代わりに返済しなければなりません。

自己破産後の生活

自己破産した人は、借金の負担から解放される一方で、5年から7年程度は期間信用情報に破産したことが記録されます。いわゆるブラックリストに載った状態です。

その期間中は新たな借入やクレジットカードの利用が制限されることがあります。しかし、この期間を無事に過ごしきちんとした収入と支出の管理をおこなえば信用情報も回復します。

財産がほぼ全て回収される

自己破産手続きを行うと、生活に最低限必要な財産以外は、ほぼ全て回収されることになります。

現金や預金、車、土地、家といったおよそ20万円以上の一定の価値がある財産は、破産手続きの過程で失われることになります。

多くの財産が回収されますが、生活に必要な最低限の財産は、一部保護されます。具体的な対象や金額は、状況や裁判所の判断によって変わるため、弁護士や司法書士に相談するべきです。

ローン返済中のものは回収される

ローンを返済中の車や家電は、回収されることがあるので注意が必要です。「ローンを完済するまで、品物はローン会社のもの」となっていることが多く、回収される可能性があります。

品物の回収を防ぐために、特定の貸主だけを優遇する偏頗へんぱ弁済は避けるべきです。偏頗へんぱ弁済をすると特定の貸金業者を優遇して不公平だと、自己破産が認められなくなることがあります。

親戚や友人から借りたお金だけを優先的に返済したり、ローン返済中の財産を完済しようとする行為は、偏頗弁済にあたります。

クレカ作成がむずかしくなる

自己破産をすると、信用情報機関に登録されることが原則です。

新たなクレジットカードを作成するときに審査が厳しくなり、約5年～7年間はクレジットカードを新たに作るのはがむずかしくなります。

一部のカード会社では審査基準が緩やかで、ブラックリストに記載されている人でもカードを取得できることがあります。

しかし、将来的な信用回復に悪影響を与える可能性があるので、信用情報が改善されるまでは無理にクレジットカードを作るべきではありません。

ローンを組みにくくなる

自己破産をしてから5年～7年間は信用情報機関に登録されているため、新たなローンを組むことがむずかしくなります。

ローンには種類がありますが、住宅ローンや自動車ローンだけでなく、消費者金融やクレジットカードのローンも審査が厳しくなるため、注意が必要です。

借金やクレカの利用ができない

自己破産した後は、ブラックリストに登録されている間は新しい借金やクレジットカードの利用ができなくなります。

消費者金融からの借り入れはもちろん、住宅ローンなどのローンも審査に落ちて組むことができなくなります。ただし、デビットカードやデビットカードで支払うキャッシュレス決済が代用できます。

現金での支払いが面倒という人でも、生活に大きな支障をきたさずに便利な支払い手段が継続して使えます。

デビットカードは、クレジットカードとはちがい、利用者の銀行口座から直接引き落とされるため、事後の支払いが必要ありません。

携帯電話が分割払いできない

自己破産をすると、携帯電話を購入する際の分割払いができなくなります。これは、ブラックリストに記載されていることが原因です。

しかし、中古携帯電話を一括で購入するか、レンタル携帯を利用すれば問題なく携帯電話を使うことができます。

レンタル携帯とは、携帯電話を一定期間借りる形式なので、分割払いや審査が必要なく、自己破産した人でも携帯電話を利用できます。

賃貸契約ができないことがある

自己破産をすると、賃貸契約ができない可能性があります。賃貸を借りるときには保証人が必要で、保証人がいない場合は家賃保証会社を利用します。

信販系の家賃保証会社が運営していると審査で信用情報を参照され、審査に通らないことがあります。

しかし、独立系の家賃保証会社なら、信用情報を参照できないため、契約できる可能性があります。賃貸情報サイトなどで、家賃保証会社が記載されていることもあるため、確認してみてください。

自己破産後は、以下の3点に注意して賃貸物件を探すことが重要です。

1. 独立系の家賃保証会社を利用できる物件を探す
2. 賃貸情報サイトや不動産屋で、家賃保証会社の情報を確認する
3. 必要に応じて、保証人を探す

自己破産した後の家族の生活への影響

自己破産した人の生活だけでなく、自己破産をした影響が家族にも及ぶことがあります。家族への影響には以下のようなものが考えられます。

家族の財産は無事

自己破産した場合でも、家族の財産は処分されません。処分されるのは、あくまで自己破産をした本人の財産のみです。

家族の財産は安心して残すことができますが、財産を明確に区別しないと自己破産の処分対象になることがあります。

事前に家族名義の財産を整理し、所有者を明確にしてから自己破産の手続きを進めるべきです。

家族が保証人の借金は請求が来る

家族が保証人になっているときは、借金の支払いができなくなった本人に代わり家族に請求が来ることになります。保証人は、借金を肩代わりする役割を担っているため、注意が必要です。

家族に迷惑をかけたくない人は、任意整理を選択すれば、保証人がついている借金を除外することができます。

しかし、任意整理は自己破産のように借金を免除するわけではなく、毎月の支払い額を減らして負担を軽くすることしかできません。

子どもの奨学金は別の保証人を立てる

自己破産した人は奨学金の保証人になることができなくなるため、子どもの奨学金を受ける際には別の保証人を立てる必要があります。

機関保証制度を利用すれば、保証会社が代わりに保証人になってくれますが、機関保証制度を利用するとデメリットもあるので、なるべく周囲の人に保証人をお願いした方がよいです。

機関保証制度を利用することで発生する項目とデメリット

項目	デメリット
保証料の支払い	奨学金利用期間中に保証会社に支払う。保証料は奨学金の額や利用期間によって異なる。
保証会社の審査	学生に対して独自の審査を行う。審査に通らないと、機関保証制度を利用できないことがある
返済義務	返済義務が滞ると保証会社が代わりに返済し、遅延損害金や費用が発生することがある
信用情報への記録	返済が遅れると信用情報機関に記録され、今後のローンやクレジットカードの利用に影響がある

家や車を失うので不便になる

自己破産すると、20万円以上の価値がある財産は没収されることがあります。このため、持ち家や車は失うことがあり、家族にも影響が出ることがあります。

しかし、賃貸住宅を借りることは可能であり、家族の名義であれば車も購入できます。不便さはあるものの、適切な対応で生活を続けることができます。

自己破産した人のリアルな体験談

自己破産した人の実際の体験談を紹介します。

自己破産がきっかけで生活が立て直せました

自己破産をしたことで、借金の重圧から解放されました。

自己破産をした後は、資格取得や新しいスキルを磨くために猛勉強しました。転職に成功し、自己破産前から月収が2倍もアップしました。

家族に自己破産をすると告白するのは勇気がいりましたが、本当に自己破産してよかったです。生活を立て直すためにしてくれた家族の協力に感謝しています。

自己破産していなかったら自殺していたかもしれません

自己破産前には3,000万円の借金を抱えていました。

死に物狂いで一生懸命働けば還暦までに返済できるかもしれませんが、それだけで人生が終わってしまうように感じていました。

自己破産するまでは、将来に絶望していました。あのままでは自殺してしまっていたかもしれません。自己破産したことで肩の荷が下りた思いでいます。

自己破産で本当に信頼できる仲間ができました

自己破産をしたことで、人間関係が激変しました。

一部の友人や知人には理解されず、距離を置かれることもありましたが、本当に支えてくれる人たちが見えてきました。今では、より良い人間関係を築いていると感じています。

ただ、自己破産のイメージはあまりよくなく、決断するまでに時間がかかってしまったのが残念です。もう少し早く手続きできていたら、苦しむ時間がもう少し減ったと思うのです。

自己破産のよくある誤解

自己破産は、経済的な問題を解決するための手段として使われますが、誤解も多いです。

自己破産した後に財産が残せないわけではない

自己破産をすると財産がすべて失われるという誤解がありますが、一定の財産は手元に残すことができます。例えば、99万円以下の現金や生活に必要な家財などが残せます。

自己破産の記録は戸籍に載らない

自己破産をすると、自己破産したことが戸籍に記録されるという誤解がありますが、戸籍には自己破産の履歴は載りません。

官報という国が発行している新聞のようなものには、自己破産をした人の情報が載ることがあります。誰でも読めますが、金融に関わるような仕事をする人以外はほぼ見る機会はありません。

結婚や離婚に直接の影響はない

自己破産は結婚や離婚に直接影響を与えることはありませんが、間接的に影響を受ける可能性があります。

例えば、結婚後にローンを組めなくなったり、持ち家を持てなくなる可能性があります。

ただし、自己破産を理由とした離婚は認められないことがあります。法律で明確な規定はありませんが、自己破産が離婚責任の原因であるときに、裁判では離婚が認められない可能性があります。

自己破産しても税金や年金は免除されない

自己破産をしたとしても、税金や年金の支払いを免除されることはありません。税金や年金は非免責債権と呼ばれ、自己破産でも免除できないものです。

主な非免責債権の種類としては、税金、年金、公共料金、慰謝料や養育費、罰金などがあります。

自己破産しても税金や年金は免除されないので、放置しないようにすることが大切です。

自己破産してもできること

自己破産しても変わらないこと

自己破産後にも多くのことが変わらずにおこなえます。年金を受け取る、選挙に参加する、生活保護を受ける、現在住んでいる家に住み続けるといった基本的な権利は守られます。

会社は続けられる

自己破産しても、会社をクビになることはありません。

「労働基準法」によると、合理的な理由がない限りは社員を解雇することはできません。つまり、法的な根拠もあるため、仕事に対する心配は不要です。

ほしい物を買える

自己破産後でも、自由にほしいものを買うことができます。

しかし、分割払いやクレジットカードの利用、ローンを組むことはできませんので注意が必要です。

選挙への参加が可能

自己破産をしたからといって選挙権に影響はなく、選挙に参加することは問題ありません。日本国憲法により、選挙権は国民の権利として認められており、自己破産とは関係ありません。

第十五条　公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

２　すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

３　公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

４　すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

日本国憲法 – 衆議院

日本国憲法の第十五条において、国民の選挙権は公務員の選定や罷免に関する国民の固有の権利として認められています。

生活保護を取得できる

自己破産をしていても、生活保護を受けることは可能です。

生活保護は生活が苦しい人の保護のための制度で、条件を満たせば受けることができます。

自己破産後でも受給できる可能性がありますので、適切な順序を確認してから申請することをおすすめします。生活保護に応募するための条件は以下の通りです。

1. 収入が国が定める最低生活費に届いていないこと
2. 家や車などを持っていないこと
3. ケガや病気が原因で働けなくて、生活が困窮していること
4. 公的融資の対象外であること
5. 親族からサポートを受けられないこと

これらの条件に該当する場合、生活保護を受けられる可能性があります。

ただし、個別に審査されるので、詳細な情報は地方公共団体に問い合わせて確認しましょう。

年金の受給が可能

年金は公的年金なら受給できます。国民年金や厚生年金などが当てはまります。

公的年金は自由財産の「差押禁止財産」に当たりますので、自己破産しても受給することができます。

賃貸に住み続けられる

自己破産したからといって、賃貸を追い出されることは基本的にはありません。

ただし、家賃を3か月以上滞納していると追い出される可能性があります。法律には明記されていませんが、家賃を3か月程度滞納すると、裁判になったときに退去が認められる可能性が高いです。

自己破産をすると、滞納した家賃の返済義務はなくなりますが、追い出される可能性があることは覚えておいてください。

貯金が可能

自己破産の手続きが終わった後に、手に入れた給料や財産は残せるので、貯金をすることは問題ありません。

また、一定の財産を手元に残すことができます。例えば99万円以下の現金、20万円以下の価値のもの、生活に必要な家財などです。

自己破産した人の末路についてよくある質問

自己破産した人の末路は悲惨って本当？

自己破産をした人の末路は悲惨とは言い切れません。自己破産をすると借金が免除されますが、生活にはいくらかの不便があるので詳しくは「自己破産した人の末路」をご確認ください。

自己破産をした人のリアルな体験談を知りたい

自己破産をした人のリアルな体験談を記載しています。己破産はしてよかったという声が半数以上ですが、若干後悔している人の声もあります。詳しくは「自己破産した人のリアルな体験談」をご確認ください。