奨学金の(連帯)保証人との金銭トラブルを回避する方法

奨学金は、学費や生活費などの負担を軽減するために借りることができるお金です。

奨学金の平均額は324.3万円とされており、大学生の借金のほとんどの割合を占めています。奨学金を受け取るためには、保証人または連帯保証人を立てる必要があり、それぞれなる条件とリスクがあります。

奨学金の保証人や連帯保証人が負うリスクを知らずに依頼してしまうと、返済の義務が保証人や連帯保証人に移って金銭トラブルになります。そのような金銭トラブルを回避するためにも、いますぐ奨学金の保証人や連帯保証人が負うリスクを知っておくべきです。

また、すでに返済が苦しくて、保証人や連帯保証人に迷惑をかけそうな人は、すぐにでも弁護士・司法書士といった専門家に相談をして解決しましょう。

奨学金の保証人になる条件とリスク

奨学金の保証人・連帯保証人になる条件と責任

奨学金を受け取る条件の1つとして、保証人または連帯保証人のどちらかを立てる必要があります。

奨学金の保証人や連帯保証人には、それぞれなれる条件と責任のちがいがあります。

親族以外の第三者がなる保証人

保証人は、20歳以上で学生の親族ではない第三者で、定職に就いている必要があります。保証人になると、奨学金を債務者(借りた人)が返済できなくなったときに、保証人が返済を負担することになります。

保証人は連帯保証人とちがって責任の軽減が認められていますが、保証人が契約した条件にもとづいて「保証債務の履行」を強いられて、返済の負担が重くなる可能性もあります。

親または親族がなる連帯保証人

連帯保証人は、奨学金の債務者(借りた人)と同じ責任があります。

奨学金の返済ができなくなったときには、連帯保証人にすべての返済義務が移り、返済できなければ財産を差し押さえられる可能性があります。保証人に比べて連帯保証人は責任が重いので注意が必要です。

奨学金の保証人になるリスク

項目	保証人	連帯保証人
責任の程度	債務の一部を負担	債務全体を負担
財産の差し押さえ	される可能性がある	される可能性がある
催告の抗弁権	あり	なし
検索の抗弁権	あり	なし
保証人になる資格	学生の親族ではない第三者 定職に就いている	学生の親族ではない第三者 安定した収入がある

奨学金の保証人や連帯保証人には、返済請求を拒否する権利である「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」といった権利がありますが、債務者(借りた人)が返済できなかったときの代わりに返済する「保証債務の履行」をされる可能性があります。

奨学金を受け取るときにはリスクを理解して、保証人や連帯保証人を誰にお願いするか慎重に判断することが大切です。

催告の抗弁権と検索の抗弁権

催告の抗弁権とは、奨学金の債務者(借りた人)が返済期限を過ぎても返済できないと保証人や連帯保証人が返済を請求されますが、そのことに対して「催告(返済を求める通知)がない」と主張する権利のことです。

一方、検索の抗弁権とは、奨学金の返済を求められたときに、金利が法定利率を超えていたり契約が不当な条件を含んでいたりするなど契約書に不正な点があることを指摘して、返済請求を拒否する権利のことです。

催告の抗弁権と検索の抗弁権によって保証人や連帯保証人は、奨学金の債務者(借りた人)の代わりに返済することを回避することができます。

保証人とのトラブルを回避する方法

奨学金の利用条件や返済期間を理解しておく

奨学金は大学や専門学校などの学費を支払うために借りるお金であり、あとで絶対に返済しなければないので、利用する前に必ず利用条件や返済期間を理解すべきです。

奨学金を利用するときには保証人や連帯保証人が必要で、保証人や連帯保証人は奨学金を借りた人が返済できなくなったときに、代わりに返済する責任があります。利用条件や返済期間を知らず、あとで返済できなくなったときには保証人や連帯保証人に迷惑をかけるので、トラブルになります。

奨学金の返済期間は利用する奨学金の種類や金融機関によってちがい、一般的には卒業後3年～5年程度です。毎月一定の金額を返済する必要がありますが、返済が遅れたときには遅延損害金が発生します。

返済が滞らないよう、利用前にしっかりと返済計画を立てておくことで、保証人とのトラブルを回避できます。

返済期間や利用条件を知らずに奨学金を借りて、返済地獄になったときの解決法についてくわしくは「奨学金の返済地獄を回避する方法と借金で苦しくなったときの解決法」をご確認ください。

保証人になるリスクを伝える

保証人になることは、奨学金を借りた人が返済できないときに、その借りたお金を代わりに返済する責任を負うことになります。つまり、保証人になると、借りた人が返済できなければその借金を返済しなければならないことになります。

借りた人に代わって借金を返済しなければならなくなると、急に大きなお金が必要になることがあります。もし、保証人が借金を返済できなければ、利息や遅延損害金で借金額がどんどん膨らんでしまうので、債務者(借りた人)と一緒に債務整理をすることになります。

保証人は、親や親族以外の第三者に依頼しますが、保証人になるリスクを説明せずに「とりあえず保証人になってほしい」と依頼してしまうとあとでトラブルになるので、必ずリスクを説明すべきです。

保証人が必要ない機関保証を利用する

奨学金を受けるときには、保証人または連帯保証人が必要になりますが、日本学生支援機構が提供する一部の奨学金には、保証人が必要ない「機関保証」があります。

奨学金の機関保証は、債務者(借りた人)が返済できなくなったときに、学生支援機構が代わりに返済する保証です。機関保証であれば保証人を探す必要がないので、保証人とのトラブルになることがありません

ただし、機関保証があるからといって、すべての奨学金で保証人が不要になるわけではありません。奨学金を受ける前に必ず利用条件を確認して保証人が必要かどうかを確認することが大切です。

奨学金の保証人とトラブルになったときの解決方法

保証人との契約書を確認する

奨学金の保証人との契約書には、保証人に求められる要件や責任、奨学金を受け取るための条件、保証人になることで発生するリスクや注意点などが書かれています。

例えば、保証人には、返済保証をするために自己財産を担保に入れることが求められることがあります。また、債務者(借りた人)が返済できなくなったときには、保証人が代わりに返済しなければならない責任があることが書かれています。

保証人と借りた人の関係についても契約書には定められているので、保証人と奨学金を借りた人がトラブルを起こしたときには、契約書や取り決めに基づいてトラブルを解決することができます。

奨学金の融資機関に相談する

奨学金を融資している融資機関に相談することで、奨学金を受け取るために必要な手続きや条件をくわしく知ることができます。

奨学金の融資機関は、奨学金についての専門的な知識を持っているので、奨学金を受け取るために必要な書類や提出期限、手続きの流れといったことを融資機関のスタッフがくわしく教えてくれます。

また、保証人に求められる要件や責任、トラブルが生じた場合の解決方法についてもアドバイスをしてくれるので、保証人とトラブルになっても解決することができます。

弁護士・司法書士に相談する

奨学金の保証人とトラブルになったときには、法律の専門家である弁護士・司法書士に相談することでアドバイスを受けることができます。

例えば、債務者(奨学金を借りた人)が奨学金を返済できず、保証人や連帯保証人に返済の義務が移りそうなときにも、弁護士・司法書士に相談することで解決方法を教えてくれます。

ただし、奨学金の返済は最大限自分でおこなうべきなので、奨学金の返済が苦しくて保証人に迷惑をかける可能性がある人は、1日もで早く専門的な知識や経験を持った弁護士・司法書士に相談すべきです。

弁護士・司法書士に相談するメリット

• 個々の状況に合わせた最適な債務整理方法を提案してもらえる
• 債権者との交渉を代行してもらえる
• 手続きに関する法律的な知識や経験を持っているため、スムーズな手続きが期待できる
• 借金返済に関する悩みやストレスを相談し、心理的なサポートを受けられる

弁護士・司法書士といった専門家のアドバイスを受けることで、返済計画の立て直しや借金の状況にあった解決方法を見つけることができます。

奨学金の保証人についてよくある質問

保証人とトラブルを起こしたときの解決法は？

奨学生と保証人でトラブルになったときには、奨学生と保証人の契約書や取り決めにもとづいてトラブルを解決することができます。もし、解決できないときには奨学金の専門機関に相談することや、弁護士や司法書士に相談することで解決できます。

くわしくは「奨学金の保証人とトラブルになったときの解決方法」をご確認ください。

保証人とのトラブルを回避する方法は？

保証人とのトラブルを回避する方法には、以下のようなことがあります。

• 奨学金の利用条件や返済期間を理解しておく
• 保証人になるリスクを伝える
• 保証人が必要ない機関保証を利用する

それぞれの項目について、くわしくは「保証人とのトラブルを回避する方法」をご確認ください。